真珠腫性中耳炎

真珠腫性中耳炎

  • 真珠種性中耳炎とは
  • 症狀
  • こうして治療します

真珠腫性中耳炎とは、鼓膜の一部が内側(中耳)に陥凹しておきる中耳炎です。(先天性真珠腫の場合は鼓膜に関係なく中耳に存在します)
腫という字があるので、腫瘍と間違えられやすいのですが、腫瘍ではありません。鼓膜の表面は外耳道の皮膚と連続していますので、角化物(垢)が出ます。
正常な場合、その垢は皮膚の自浄作用により外側に耳垢として排泄されますが、鼓膜が陥凹するとその内側に角化物が溜まりやすくなります。
多くは滲出性中耳炎を繰り返したり遷延した結果、陥凹して袋状になった鼓膜が鼓膜の中の壁とくっついたり奥深くの空洞へ徐々に入り込みます。この袋の中に角化した鼓膜の上皮が重なって溜まっていくのです。そうやってできたものが、真っ白で真珠のようだから「真珠腫」と呼びます。陥凹した袋の中のカスは、やがて炎症を起こし鼓膜を侵していきます。白血球などの炎症細胞の放出するいろいろな酵素やサイトカインと呼ばれる物質が、鼓膜上皮を増殖させたり、まわりの骨を破壊吸収します。鼓膜の創傷治癒が妨害されたために過剰に上皮が増殖するという説もあります。
こうして、まわりの骨や組織を破壊しながら徐々に大きくなるわけです。この角化堆積物が、細菌や真菌の培地となり感染、炎症がおこります。この炎症により、周囲の骨を破壊しながら増大するとされています。

真珠腫の進行

上鼓室型

滲出性中耳炎のあと、
遷延すると鼓膜が
内陥する。

鼓膜が袋状に入り込んで、
そこにカスがたまる。
真珠腫ができる。

真珠腫がさらに大きくなり、
周囲の組織を破壊する。
 

後上部型

滲出性中耳炎のあと、
遷延すると鼓膜の
後上部が内陥する。

さらに内側へ入り
込んで袋状になる。
 

真珠腫ができ、周囲を破壊
しながら大きく成長する。
 


中耳には耳小骨(音を伝える小さな骨)や蝸牛(音を電気信号に変える器官)など、 大事な器官がたくさんあります。

この真珠腫ができていく際に,鼓膜の裏側にある音を伝える耳小骨を破壊すると、聴力障害を起こしたり、三半規管を破壊してめまいを起こします。
また顔の筋肉を動かす顔面神経は中耳と内耳の間の骨の中を通っていて、これが真珠腫で破壊されると、顔がゆがんでしまう顔面神経麻痺も起こします。

さらに脳の方向へ進むと髄膜炎などの重篤な合併症を起こすことがあります。
炎症反応が強く、非常に臭い膿が「おから」のようなカスと一緒に出てきたりします。

一般にご自分で判断する症状としては、
① 悪臭のある耳漏(耳垂れ) ※痛みを伴わないことがほとんど
② 難聴 (初期には軽度)
③ 顔面神経麻痺や強い頭痛、発熱など

小さいときから中耳炎を繰り返していたり、慢性中耳炎がある方で、悪臭を伴う耳漏がでてきたら要注 意です。


後天性真珠腫と比べると、通常は病気の進行は遅いのですが、放置すれば徐々に大きくなって周囲に進展していきます。
徐々に増大して骨を破壊するので、早期に手術を行って完全に摘出します。
さらに耳小骨連鎖(じしょうこつれんさ)が破壊されている場合は、連鎖再建術も同時に行います。時期を逃さず摘出すれば、予後は良好です。

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