急性中耳炎や浸出性中耳炎、または鼓膜外傷などが完治せずに、鼓膜に穴が開いたままの状態を指します。
鼓膜は、本来再生能力の強い器官であり、生じた穴はたいてい自然に閉鎖しますが、体質や感染、急性中耳炎の治療の不備(特に、昔抗生物質もなかった時代)などによる炎症の長期化等の原因で閉じないことがあります。
正常の鼓膜とは異なり、慢性中耳炎の耳では外耳道から中耳腔へと細菌の侵入が簡単に起きるので、感染をくり返し起こすことが多いです。
慢性中耳炎の鼓膜写真
もっとも多く見られる症状は、耳だれと難聴で、めまいを伴うこともあります。
耳だれは感染のある時のみに見られるので、断続的です。
難聴はゆっくりと進行することが多いのですが、急性中耳炎に見られるような耳の痛み、発熱はほとんどありません。
慢性中耳炎の中には、耳だれが絶えず出ているものから、ほとんど自覚しない程度のものまで種々あります。
難聴は穿孔の状態と穿孔の位置にもよりますが、かなり大きな穿孔でも聴力にはあまり影響しない場合もありこちらも様々です。
症状が軽い場合には抗生物質の服用、耳だれの吸引や薬液による局所の洗浄によって治療を行います。
また点耳をして炎症を抑えることによって耳だれを止めることもあります。
鼻の症状がある場合は急性中耳炎や滲出性中耳炎と同じく鼻の治療も並行して行っていきます。
感染の慢性化の要因を明らかにし、耳を乾燥させる保存的治療が先決で、その後の経過に応じて手術的治療が必要となる場合があります。
(手術が必要になる場合は、患者さんのお住まいや症状の程度を勘案してしかるべく提携病院をご紹介いたします。)
日常生活の注意点
感染を起こさないために、耳に水を入れない、耳かきをしない、なるべく風邪をひかないように注意するなどのことが必要です。
お風呂に入る際には、綿球や耳栓をすることをおすすめします。滲出性中耳炎や急性中耳炎を繰り返す場合(反復性中耳炎)に、慢性中耳炎では?と心配されることもありますが、その都度きちんと治療をおこなっていれば、慢性中耳炎に移行することほぼありません。
(詳しくはこどもと中耳炎をご覧ください)