航空性中耳炎

航空性中耳炎

  • 航空性中耳炎とは
  • こうして治療します

飛行機に乗っていると耳がキーンとしたり、耳がつまったような感じになったりすることがあります。
経験されたことがある方も多いのではないでしょうか。通常はあくびや唾を飲むなどの嚥下(えんげ)で解消されますが、時には耳痛、耳閉感、難聴、耳鳴、頭痛などが続くことがあります。
これは航空性中耳炎と言って急性中耳炎の一種です。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

鼓膜の奥の中耳には鼓室と呼ばれる空気の入った部屋があり、耳管という細い管で鼻とつながっています。耳管は普段は閉じていますが、唾を飲んだ時、あくびをした時などに一瞬だけ開きます。これにより、鼓膜の内側と外側の気圧を合わせることができ、最も能率よく音を聞くことができています。

航空性中耳炎における鼓室内出血
航空性中耳炎における鼓室内出血

上空では地上よりも気圧は低くなります。機内の気圧は調節されていますが、高度によって多少上下します。
一万メートル上空では0.8気圧程度で、高さ2000mの山とほぼ同じくらいの気圧です。

中耳は飛行機の下降時には陰圧になり、鼓膜が内側にへこんだ状態になります。耳管がうまく機能しないと耳が塞がった感じや、痛みを感じたりすることになります。
耳管はもともと陰圧になるとこれを戻すのが苦手な性質があり、機体が着陸態勢に入る時に症状がひどくなる傾向があります。


治療は通常の中耳炎と同様、鎮痛消炎剤・抗生剤の内服や、耳管から空気を入れる耳管通気療法が主体です。
症状がひどい場合には、浸出液を排膿するために鼓膜切開をおこなうこともあります。

飛行機に乗るたびに繰り返し起こす場合や治りにくい場合はもともと耳管機能に問題があることも多く、その原因としては副鼻腔炎などの感染症や、花粉症などのアレルギー性疾患がある場合もあります。
また稀ですがのどの奥の上咽頭に腫瘍がないかなどの検査が必要なこともあります。

予防法
あくびや唾を飲み込むことで耳管が開き、鼓膜の内側と外側の気圧を一定にしますので、機体が高度を下げていく前からチューインガムやあめをなめると効果があります。手元に何もない場合は、唾を飲み込むだけでも効果があります。
乳幼児の場合はミルクやジュースを飲むといいでしょう。またおしゃぶりをくわえさせるのも効果があります。飲酒は耳管周囲の粘膜を腫らせますし、眠ってしまうと唾を飲む回数が減ってしまうので、飛行機での飲酒はおすすめできません。

耳のつまりを感じた時は口を閉じ、耳抜きをするとかなり耳閉感は改善されるはず。ただ、圧力のかけ過ぎは危険ですので、2.3回試してうまく出来ない時はやめておきましょう。

風邪をひいたり、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などで鼻症状ある人は予め治療をしておくことが大切です。

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